そう思って間も無く、いずことも知れぬ道場で目覚めていた。
自分が誰か、そして天下無双の「剣豪」であった事は覚えている。
だがどういう訳か、かつての己がいかなる必殺剣を編み出したか?それが思い出せぬ。
兎も角、生計の為にこの道場に門下生を集めよう−−−。
しかし、そのような「剣豪」は自分ばかりではなかった。
いかなる不思議か、この地では音に聞こえた古今東西の「剣豪」たちが、自分と同じように道場を開いていたのである。
このままでは門下生が集まらぬ。
他の剣豪より先に「うろおぼえ」の必殺剣を思い出して披露し、道場の名に箔を付けねば−−−。